ケミカルフリースキンケア道場5「日焼け止め PART 1」




洗顔化粧水保湿......ときて、最後のマストアイテムは日焼け止めです。

今や基礎化粧品のひとつとなった日焼け止め。
比較的新しく、「保湿」などよりも少し複雑な機能を要求されるアイテムですので様々な問題点や疑問点があるかと思います。



あれも言わなきゃ、これも大事なポイントだわ……と書き連ねていったところ思わぬ長編になったので、前編後編と2本立てです。


紫外線の種類と作用


「紫外線」とは波長が10-400nmの不可視光線の電磁波のこと。赤外線が熱的な作用を及ぼすことが多いのに対し、紫外線は化学的な作用が著しいことが特徴です。

UVA1(UVA長波)340~400nm
UVA2(UVA短波)320~340nm
UVB波 280~320nm
UVC波 280 nm 未満

UVAはUVBよりも人体に及ぼす危険性は少ないのですが、皮膚の加齢、DNAへのダメージ、皮膚がんの可能性等に影響を及ぼします。

またUVAは日焼け(サンバーン)を引き起こすことはありませんが、UVBより深く皮膚の中に浸透します。そしてその中でもUVA1が一番深くまで浸透します。

UVCはオゾン層で守られている地表には通常到達しませんが強い殺菌作用があり、生体に対する破壊性が最も強い紫外線です。
近年オゾン層の破壊などから、その影響が懸念され始めています。


ケミカル原料の日焼け止め


ケミカル原料の日焼け止めの多くは、紫外線吸収剤を有効成分として使用しています。紫外線吸収剤とはその名の通り、紫外線を吸収して肌へ取り込まれる紫外線を減らす化学化合物です。紫外線を自らの中へ取り込み、化学反応を起こして体への影響がなくなるように変化させるのがその仕組みです。

白浮きしない、塗り心地がいいなどの長所もありますが肌につけている間中化学反応を起こし続けていることになるので肌への刺激が強いのが短所と言えます。

更には紫外線に照射されることで、肝心な紫外線吸収化合物が分解されてしまい「日焼け止め」としての役割を果たさなくなったりフリーラジカルを発生させるものもあります。

そして現在、ホルモンの働きを撹乱し生殖系、そして甲状腺機能に与える影響が指摘されているのです。紫外線吸収剤は皮膚を通して体内への浸透が認められています。更に怖いのは母乳からも検出されていること。赤ちゃんの体にもこれらの物質が少量とは言え、取り込まれていることになります。

よく使用されている紫外線吸収剤:
  • オキシベンゾン
  • アボベンゾン
  • オクチノキサート (OMシナマイト)
  • オクトクリレン
  • ホモサラート


ミネラル原料の日焼け止め/酸化亜鉛と酸化チタン


対してミネラル(鉱物)原料は「紫外線散乱剤」として働きます。
表皮(肌の一番外側)に留まり、紫外線を散乱させて表皮の内側にある生きた細胞を守るのです。
酸化チタンと酸化亜鉛の二種が現在は使用されており双方共に肌への刺激や、体内への浸透、ホルモン撹乱などの危険性はないとされています。

【酸化亜鉛】


単一素材で唯一、UVA長/短両波、UVB、UVCのブロック効果を持つブロードスペクトラムと呼べるのが酸化亜鉛です。肌への刺激も少なく、日焼け止めの原料として一番優れているのですが:
  • 白浮きする
  • 他の原料と混ざりにくく、分離しやすい
  • ダマになりやすい
  • 他の原料と比べて高価


これらの理由(どちらかと言えばメーカー製造上の難しさ)があり一番優れている割には、一番使われていない原料と言えます。

【酸化チタン】


もうひとつの紫外線散乱剤、酸化チタン。
酸化チタンもUVB、UVA2から皮膚を守りますが、肌奥部まで侵入するUVA1(UVA長波/340~400nm)には効果がありません
でもダマになりにく、クリームやローションに混ぜたときすべらかなテクスチャになる、更には酸化亜鉛よりも安価なためメーカーは好んで使用しています。

繰り返しますが、酸化チタンはUVA長波への効果はありません。


コーティング済み酸化チタンの危険性


後述致しますが、現在多くの政府、団体が「ナノ粒子酸化亜鉛、酸化チタンは皮膚を通して体内に浸透する可能性はほとんどない」という結論を指示しています。

しかしながら酸化チタンに関してはまた新たな懸念が指摘されているのです。

2012年、Virkutyte, J, SR Al-Abed and DD Dionysiou. によって、『酸化チタン日焼け止めに使用されている水酸化アルミニウムの スイミングプールの塩素による消耗について」という、研究が発表されたのです。

これまでもナノ粒子、ノンナノ粒子に関わらず酸化チタンは紫外線照射の中で水と反応し活性酸素を発生させることは広く認知されていました。
しかしながら酸化チタンの使い勝手の良さもあり、活性酸素の発生を抑制するため、ナノ粒子酸化チタンはアルミニウムやシリカなどで「コーティング」されて、使用していました。紫外線からの防御力はそのままに、水と接触しないようにしたのです。

そしてこのコーティングの安全性については、ごく少数の研究しかされていませんでしたが、基本的には安定していて、安全とされていました (Auffan et al. 2010).

でも2012年の研究で、プールの塩素と接触すると溶けてなくなり、紫外線照射されると活性酸素を発生させるナノ粒子酸化チタンがむき出しになってしまう。更にはアルミニウムコーティング自体が、活性酸素に変質する可能性もあることが認められたのです。

水溶化アルミニウムの劣化(変質)は主に塩素と接触すると起こると考えられていますが、著者はその他、プールの水に含まれるカルシウムやリン酸塩との関連性も指摘しています。

このリサーチでは海や湖、川などではコーティングの消滅は起こらないとしています。しかし天然の水の含有成分はそれぞれ大きく異なりますしコーティングの変質に関わる他の要因や活性酸素の組成、ポリマーやシリコン、マグネシウム、水酸化ジルコニウムなど他のコーティング原料の安定性についてなど、まだまだ明らかにされていない懸念材料が多くあるのです。

プールと言えば塩素。
日焼け止め塗ってるから大丈夫!とプールに飛び込んで数分後には活性酸素の発生が始まっているかもしれないのです。

更にプールと言えば子供。
子供達は自分で日焼け止めを選ぶことができません。日焼け止めを使ってあげること、そしてその日焼け止めの安全性を確認することは、保護者としての責任のようにも思うのです。

もしも今使っている日焼け止めに酸化チタンが使用されていたら原料リストをよくみてください。恐らく酸化アルミニウム(アルミナ、水酸化AI)がかなり高い可能性で含まれていると思います。


日焼け止め原料がフリーラジカル(活性酸素)を発生させる?


紫外線に照射されることで、ケミカル/ミネラル両日焼け止め有効成分がフリーラジカルを発生させることが指摘されています。

疑いのある配合成分は:

  • メトキシ桂皮酸オクチル
  • オキシベンゾン
  • アボベンゾン
  • オクトクレリン
  • 酸化チタン
  • 酸化亜鉛
  • パディメートO
  • PABA
  • アントラニル酸メチル
  • メキゾリルSX


ケミカル吸収剤だけでなく、ミネラル原料の散乱剤酸化亜鉛、酸化チタンも入っています。

酸化亜鉛、酸化チタンがフリーラジカルを発生させる……これは事実です。
しかしながら、多くのウェブサイトで言われるように酸化亜鉛や酸化チタンが発生させたフリーラジカルが肌に悪い影響を与える事はないのです。何しろフリーラジカルは「活細胞」を攻撃し、ダメージを与えて老化を促進させるもの。
ということは、活細胞にまで辿り着かなければダメージを与えることができないということですよね?

人間の皮膚は外側から「表皮」「真皮」「皮下組織」。
そして今目に見えて、手で触れることのできる「肌」とは表皮の一番外側にある角質層です。

角質層はケラチンというたんぱく質を主成分としています。皮膚細胞が角化(表皮の細胞が角質細胞に変化する現象)の途中で、細胞核を失ったもので、いわゆる死んだ細胞。ターンオーバーにより下から新しい細胞が出来てくると、アカとなって剥がれ落ちます。

酸化亜鉛やチタン粒子が表皮に留まるのであれば、老化を促すカギがある真皮層には一切の影響がないということです。

注:角質層が出来上がっていない、エクスフォリエイトのし過ぎのような肌状態であれば、もう少し奥まで入り込んでフリーラジカルの発生が始まる可能性も否定できません

注2:肌から体内への浸透が認められているケミカル原料の場合、フリーラジカルは活細胞にも影響を与えると考えられます


ボトムライン


これまでケミカル原料の紫外線吸収剤の短所と言えば「接触性皮膚炎の可能性」だけだと思っていたのですが皮膚を通して体内へ浸透し、またホルモン撹乱の可能性が指摘されていたことに驚きました。

また「扱いやすさ」と「価格」から、UVA防御率の低い酸化チタンを使用している日焼け止めの多いこと。酸化チタンに足りない部分をカバーするためにまた違う成分を足している……

酸化亜鉛のみの日焼け止めにメーカー側の「心意気」を感じました(笑)

さて、次回はケミカルフリースキンケア道場5「日焼け止めPART2」です。

最近多いSPF50以上の日焼け止めやナノ粒子問題の決着など。
そしてこれらの問題点をパスした日焼け止めをご紹介したいと思います。


参考:EWG's Guide to Sunscreen


レリッシュアオテアロアの日焼け止めセレクション。有効成分は酸化亜鉛のみです










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