ビタミンAが発がん性を促進する……?
ようやく2010年度版EWG日焼け止めレポートを
ゆっくりと読むことができました。
海外において日焼け止めの意義とは
「皮膚がん、ひいては命を守る」ということ。
トップページに日焼け止めで顔を真っ白にした赤ちゃんの写真がありますが、
これこそが「命を守る日焼け止めの塗り方」。
ですから焦点は効果的に紫外線から肌を守ることのできる原料、
そしてその原料の安全性ということになります。
Sunscreens Exposed: 9 surprising truths(日焼け止めの真実:9つの驚くべき事実)には
2010年現時点での日焼け止めの問題点が挙げられています。
……相変わらず私の意訳・超訳で失礼致します(笑)
- 日焼け止めの効果について、政府ヘルス関連機関は疑問を持っている
- 日焼け止めの使用こそが皮膚がん増加率に加担している?
- 高SPF値が続々と発売されているが、その効果は実証されていない
- 紫外線を避けることの弊害 ー ビタミンDの減少
- 一般的な原料、ビタミンAが発ガン性を促進している
- フリーラジカルやその他肌にダメージを与える物質が日焼け止めから作られる
- 日焼け止めの選び方:ナノ物質とホルモンかく乱(の可能性のある)物質
- ヨーロッパにはアメリカよりも安全な日焼け止めがたくさんある
- 日焼け止めに関する安全規定のない、33年目のアメリカの夏
この中で私が気になったのは
「5 一般的な原料、ビタミンAが発ガン性を促進している」。
ご存知の通りビタミンA(パルミチン酸レチニル)は
抗酸化物質としてアンチエイジングに強力なちからを発揮するとされ、
化粧品や多くの日焼け止めに配合されています。
そのビタミンAが発ガン性を促進している、との
日焼け止め業界震撼のリサーチがFDAから発表されました。
何故「震撼」かと言えば、現在アメリカで販売されている
実に41%の日焼け止めがビタミンAを配合しているから。
フォーミュラを変更しなくてはならなくなるのです。
FDAの一年にわたる研究の結果、
実験動物の皮膚にビタミンA配合クリーム(濃度01%~0.5%)を塗布し、
一日9分紫外線の照射(日中フロリダの屋外にケージを出しておく)を受けた場合、
ビタミンA配合クリームを塗られたグループは、
塗られなかったグループより21%早く、
ガンの発生に結びつく腫瘍や傷の形成を促進することがわかったのです。
0.1%と一番少ない配合量を塗布したグループでも、
11-13%早く腫瘍/傷が形成されたそう。
これは2009年に定められた
ヒト用パーソナルケア用品の最高配合量(5%)の50分の1の量です。
EWGは原料に
「パルチミン酸レチニル」
「レチノール」が入っている日焼け止めは避けましょう、と結論しています。
ここまで読んで、
キャロットオイルはどうなのよ?
思いっきりビタミンAじゃん!!!と
思われた方も多いはず……私もそう思いましたもん(^^;
でも大丈夫。
ちゃーんと植物由来原料のビタミンAについて、
以下の説明がありました。
アボカドオイル、シアバター、キャロットオイルなど
体内でビタミンAに変換されるカロチンが含まれる植物由来原料があり、
これらを「ビタミンA」と表示している商品もあります。
これら植物由来のビタミンA原料が、
パルチミン酸レチニルのように
発がん性を促進するというエビデンスはありません。
植物オイルに含まれるパルチミン酸レチニルは
研究で使用された量よりも全っっっっっっっ然少なく
またカロチンは肌に塗っても、
食べてもその危険性はないとされています
ほっ。
キャロットオイル(精油のキャロットシードも含む)は大丈夫でした^^
2015年6月29日追記:
2010年にEWGがこの記事を発表し、米FDAへ日焼け止めへの
ビタミンA(パルミチン酸レチニル)の配合規制を働きかけていますが
未だに実現していません。
この5年の間、ノルウェーとドイツ政府は研究を受け、
コスメに配合されたパルミチン酸レチニルや他のビタミンA原料が
ビタミンA過剰摂取の原因となり得ると発表しています。
(German BfR 2014, Norwegian SCFS 2012a).
*この記事は2010/7/6に記載、2015年6月29日/加筆訂正しています
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